気候変動で頻発する洪水、都市に望まれる水害対策とは
各地の都市で大規模な洪水が頻発している。都市に張り巡らされた雨水管やポンプ、その他のインフラは、気候変動によって頻度や強度が増した暴風雨に対応できるようには設計されていないからだ。 by Casey Crownhart2021.07.23
米国の各都市は、気候変動に直面し、ポンプや雨水管などのインフラを整備・改善するなどして、水害対策の強化に取り組んでいる。
多くの場合、既存のシステムは老朽化しているうえ、過去の気候に合わせて構築されている。近年頻発している激しい洪水を軽減するには、たとえシステムを改善したとしても限界があり、都市は他の解決策を考え出さなくてはならない。
ここ数週間で、ニューヨークとアリゾナ州フラッグスタッフを洪水が襲った。ドイツとベルギーでは町全体が流され、1000人以上が行方不明になっている。
この6月に発生した暴風雨により水浸しになったデトロイトでは、道路や家屋が浸水し、地域の雨水排水システムが機能不全に陥った。同市には2万3000件以上の被害報告が寄せられ、地元のニュースでは、破壊された地下室や水に流された車の様子が報じられた。
暴風雨の後の記者会見で、デトロイトとその周辺地域の下水道サービスを運営している五大湖水道局(GLWA:Great Lakes Water Authority)のスー・マコーミック最高経営責任者(CEO)は、「こんなことは経験したことがありません」と述べた。
都市の中心部は、他の地域よりも洪水が発生しやすい。道路や駐車場、建物が不浸透性であり、森林や草地のように水が地中に浸透しないことが理由だ。その代わり、水は流れる。
多くの古い都市と同様、デトロイトでも、流れてくる雨水を下水と混ぜて処理している。この混合水はポンプで処理施設に送られる。先日の暴風雨では、2つの主要なポンプ場にある12台のポンプのうちの4台が、停電と機械的な問題により機能を停止した。
五大湖水道局は過去数年間で、この2つのポンプ場の改良だけで1000万ドルを費やし、その他の改良に数億ドルをつぎ込んできた。しかし、下水道システムを完全に近代化するには、別の雨水ネットワークを構築する必要があり、その費用は170億ドル以上にのぼる。
アリゾナ州立大学のインフラ・政策研究者であるミハイル・チェスター准教授は、全米の雨水インフラは老朽化しており、多くの地方政府は、回復力のあるシステムを構築する代わりに、応急処置的な解決策に頼ってきたと言う。さら …
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