KADOKAWA Technology Review
×
【12/17開催・参加無料】AI、気候テック…次の「社会実装」はどうなる? 未来の潮流を掴むIU35サミット
米国の労働生産性が転換点、20年ぶりの上昇気流がやってきた
Getty
人間とテクノロジー 無料会員限定
The coming productivity boom

米国の労働生産性が転換点、20年ぶりの上昇気流がやってきた

米国労働統計局は、2021年第1四半期の米国の労働生産性が5.4%上昇したと発表した。この伸びは一時的なものではなく、今後の好景気の到来を告げるものだと考えられる。スタンフォード大学デジタルエコノミーラボ所長による特別寄稿。 by Georgios Petropoulos2021.06.14

多くの米国人にとって、この15年間は大変な時期だった。だが今、人々を勇気づけるような好転の兆しが見えている。

高い生活水準の重要な要因である生産性の成長は2006年以降、わずか平均1.3%にとどまっていた。これは前の10年間の半分以下に過ぎない。しかし、米国労働統計局は6月3日、2021年第1四半期の米国の労働生産性が5.4%上昇したと発表した。さらなる朗報として、この伸びが一時的なものにとどまらず、今後の好景気を告げるものであると信じる理由もある。1990年代に匹敵するか、もしくはそれを上回る生産性の上昇の到来である。

2001年から2021年第1四半期までの労働生産性の年間成長率

 

楽観的な見方の根拠は私たちの研究に示されている。ほとんどのOECD諸国は、今まさに生産性のJカーブの最低点を通り過ぎている最中にある。人工知能(AI)などのデジタル技術の進展が原動力となって、生産性は今、上昇気流に乗っているのだ。

生産性のJカーブには、画期的な技術が導入された後、最初は生産性がゆっくりと伸び、数年後に急上昇するというこれまでの傾向が表れている。私たちの研究や他の研究では、大きな恩恵を得るには、技術だけではほとんど不十分であることが示されている。新たなビジネスプロセスやスキル、その他の無形資本への大型投資を、技術投資と組み合わせなくてはならない。蒸気機関やコンピューターといった多様な画期的技術によって最終的に生産性が向上したのは、そうした投資の組み合わせがあったからこそだ。例えば、米国の工場に電気が導入された後、生産性は20年以上伸びなかった。生産性が上昇に転じたのは、電気によって機械 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. How AI is uncovering hidden geothermal energy resources AIが「隠れた地熱」を発見、地表に兆候なくても地下の熱源を特定
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2025 2025年のイノベーターが集結「IU35 Summit」参加者募集
  3. Can “The Simpsons” really predict the future? トランプもコロナも予言?『ザ・シンプソンズ』責任者が語る陰謀論の真相
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 新たなクリーン・エネルギー源の創出や、食品生産・物流の再構築といった形で経済の主要セクターの脱炭素化に取り組む注目企業10社を紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る