スマホ疲れから開放、「音声ゲーム」がコロナ禍で人気
新型コロナウイルスのパンデミック下において、家族で楽しめる音声ゲームの人気が急上昇している。視覚からの情報に頼らない音声ゲームは、子どもたちの想像力や創作力を発達させる可能性を持つ。 by Tanya Basu2021.04.06
マサチューセッツ州に住むある家族が、キッチン・テーブルを囲んで集まっている。両親がテーブルの上に置かれたデバイスの電源を入れ、しばらくして陽気な声が流れ始めると、家族全員がおしゃべりを止めて、落ち着いて耳を傾け始めた。
アマチュア無線全盛期の光景ではない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウン中のダニエルズ家の様子であり、一家の注目を集めているのは、最近の子どもたちが普段使っているアプリや動画に競合するよう設計された音声デバイス「ヨト(Yoto)」だ。カセットプレイヤーのように、物語やゲームがあらかじめ記録されたカードを差し込んで使用する。ヨトでは、ダニエルズ家が毎朝聞いている子ども向けニュース番組のように、日々新しいエピソードも聞ける。
父親のブライアン・ダニエルズは、「画面がないことが大きなポイントでした」と述べる。「創造的な思考や遊びを促すことは、私たちにとって重要なことでした。注意を引き続けられ、生産的になれるのです」。
実際のところ、スクリーンタイム(画面視聴時間)が子どもたちに与える悪影響についての科学的根拠はまだ定まっておらず、多くの専門家はその危険性が誇張されていると考えている。それにもかかわらず、多くの親は子どもがタブレットやテレビを見ている時間が長すぎることを心配している。そうした家庭にとって音声ゲームは健康的な選択肢になるかもしれない。その結果、コロナ禍において、家族で楽しめる音声ゲームがダウンロード・チャートで急上昇している。
音声ゲームの多くは、アマゾンのアレクサやグーグル・アシスタントのような音声アシスタント上で動作する。2019年頃の音声ゲームに関するレポートでは、そのほとんどが選択式のアドベンチャー・ゲームや雑学クイズだったが、現在ではより洗練されたものが登場している。例えば「レモネード・スタンド( Lemonade Stand)」というゲームでは会社経営の練習ができるし、「キッズ・コート(Kids Court)」では子どもたちが互いの違いを話し合い、音声アシスタントがその議論を裁く、といった遊びができる。
ほとんどの音声ゲームは非同期的にプレイできる。つまり、プレイヤーたちは同じ場所にいる必要がなく、プレイする時間にも縛りがない。音声ゲームのパブリッシャーであるボレイ(Volley)のマックス・チャイルド創業者によると、祖父母がプレイして孫に進行状況をメールで伝え、孫は時間がある時に自分たちのターンを進める、といった遊び方がよくあると …
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