ワクチン接種最速「イスラエルは成功モデルではない」
イスラエルはもっとも迅速に国民へのワクチン供給を実現している。だが、そこには多くの「対象外」の人々がいることにも目を向けるべきだ。 by Mia Sato2021.02.11
イスラエルは当初、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)・ワクチン配布アプローチが評価され、収束へ向けたお手本としてもてはやされた。だがその後、複雑な状況が明らかになった。新型感染者数が記録的に増え、新たなロックダウンは1月末まで延長された。一方、このニュースの背後には不平等と政治的混乱がある。イスラエルがヨルダン川西岸やガザ地区に住む450万人ものパレスチナ人へのワクチン供給を拒否したことが国連から批判された。
イスラエル人権医師団の政策・倫理部門長であるハダス・ジヴは、イスラエル政府にワクチン政策について提言した専門家チームの一員だ。イスラエル人権医師団は、刑務所収容者へのワクチン接種のための活動も行なっている。イスラエルにおけるワクチン配布の成功と失敗について話を聞いた。
※以下のインタビューは、発言の趣旨を明確にするため、要約・編集されている。
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——イスラエル国民は、どのような手順でワクチンを接種できますか?
非常に簡単です。ワクチンを受けられる資格を持っていることはSMSで通知されますし、医療機関にサイトにアクセスすれば対象者かどうかすぐに確認できます。
ワクチンの接種はインターネットで予約できますし、携帯電話にリンクを送ってもらうこともできます。こうした手順は非常に組織化されていて、市民はワクチンを簡単に接種できます。
——ワクチン接種は無料ですか? ワクチン接種を開始した際に混乱やハードルはありましたか?
イスラエルの良い面は公的医療保険制度があり、全ての国民が健康保険に加入していることです。占領地区のパレスチナ人や難民、移民労働者などの一部を除けば、保険に入れます。
——ワクチン接種に対する忌避や拒否の問題は見られますか?
イスラエル国民は一般的にワクチンを信用していると思います。いくつかのメディアが陰謀論を報じたことで、ワクチンを接種した人の経過が判明するのを待つべきか、迷っている人もいます。ですが、ワクチン接種の影響よりも、新型コロナウイルス感染症に対する恐怖の方が大きく、実際、ワクチンの安全性について広報され、多くの人が納得したと思います。
ユダヤ教超正統派やアラブ系コミュニティなど、特定のコミュニティは政府への信頼度が低く、情報が不足しています。そうしたコミュニティの人々がワクチン接種に来るよう、保険システムと政府の両方が説得し、情報にアクセスできるようにする努力が必要です
——イスラエルは世界の他の地域と比べて、迅速にワクチンを供給しているモデルだと見られていました。しかし、症例が増加し再度ロックダウンが実施されれました。このことは、新型コロナのパンデミックを克服するにあたって、ワクチンが果たす役割にどのような教訓となるのでしょうか。
ワクチン接種のプロセスには、良い点と悪い点があります。イスラエルは他の多くの西側諸国と同様、自国優先のワクチン・ナ …
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