KADOKAWA Technology Review
×
始めるならこの春から!年間サブスク20%オフのお得な【春割】実施中
逆転の発想、診断法の欠陥を機械学習で実証した新研究
Ms Tech
人工知能(AI) 無料会員限定
AI could make healthcare fairer—by helping us believe what patients tell us

逆転の発想、診断法の欠陥を機械学習で実証した新研究

機械学習は既存の不平等を永続させる傾向があると指摘されているが、カリフォルニア大学バークレー校の研究者たちは「逆転の発想」により、機械学習により既存の医学的知識の欠陥が明らかになる場合があることを示した。 by Karen Hao2021.02.09

ここ数年の研究で、早期がん発見や眼病診断といった医用画像処理タスクにおける深層学習の性能が専門家レベルに達していることが分かった。だが、これには注意も必要だ。他の研究で、深層学習には差別を永続させる傾向があることも示されているのだ。医療制度はすでに格差に満ちており、ずさんな深層学習の導入はそれをさらに悪化させてしまう可能性がある。

そうした中、新しい研究論文がネイチャー メディシン(Nature Medicine)誌に発表された。この新研究では、既存の不衡平を悪化させず、むしろ逆転させるのに役立つ可能性がある医療アルゴリズムの開発方法が提案されている。同研究を指導したカリフォルニア大学バークレー校のジアード・オーバマイヤー准教授は、重要なのは、アルゴリズムを人間の専門家の判断と一致させるように訓練するのを止めることだという。

この論文では、変形性膝関節症の治療に存在する不平等の具体的な臨床例が検証されている。変形性膝関節症にかかると慢性的な痛みが引き起こされる。医者はその痛みのひどさを評価して物理療法、薬物療法、手術といった適切な治療法の決定に役立てている。痛みのひどさの評価にあたっては、放射線科医が患者の膝のX線写真を確認し、ケルグレン・ローレンス(Kellgren-Lawrence)分類(KLG)を使って疼痛を得点化する方法がこれまで一般的に使われてきた。KLGでは、軟骨の欠落や構造的損傷の程度といったX線写真上の特徴の存在の違いに基づいて痛みの程度を計算する。

しかし、この方法を使用している医師の間に、患者が黒人の場合は本人が訴える痛みよりもはるかに軽い程度のグレードをつけるといった習慣が横行していることが、米国立衛生研究所が収集したデータから分かった。この方法では、患者は、さまざまな動きをする際の痛みについての調査に基づいて、痛みのレベルを自己申告する。膝をまっすぐ伸ばした場合の痛みのレベルはどの程度かといった …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
  2. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  3. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
  4. Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る