フェイスブック、新型コロナワクチンのデマを削除へ
フェイスブックは、新型コロナウイルスのワクチンに関する虚偽の主張を削除すると発表した。いよいよ世界各国でワクチンの接種が始まる中、反ワクチン主義者たちの過激な主張の拡散を防ぐことが狙いだ。 by Abby Ohlheiser2020.12.16
フェイスブックは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチンに関して「公衆衛生の専門家が誤りだと判定した」虚偽の主張を削除すると発表した。同社はプレスリリースで、新型コロナウイルスの誤情報に関する既定の禁止ルールをどう適用していくか、おおまかな方針を示した。世界各国でワクチンの確保や接種が始まろうとしている中、「差し迫った身体的な危害」につながる可能性のある投稿を排除することが目的で、フェイスブックとインスタグラムの両方に適用される。
新型コロナウイルスのワクチン開発の成功は、今回のパンデミックを克服する上で欠かせない要素と見られており、数種類のワクチン候補が審査の最終段階にある。12月2日、英国は世界で初めてワクチンを承認し、ファイザーとドイツのバイオ医薬ベンチャーのバイオンテック( BioNTech)が共同開発した製品に緊急使用許可を出した。12月8日から、初の接種も始まった。
フェイスブックが削除の対象とする投稿は何だろうか? 今回のポリシーの発表は包括的なものではないが、サイトから削除される誤情報の例を何点か挙げている。
「ワクチンの安全性や有効性、成分、副反応に関する虚偽の主張が含まれる可能性がある場合です。例えば、新型コロナウイルスのワクチンに、マイクロチップや、正式な成分リストにないものが含まれているといった虚偽の主張は削除されます。また、現在、虚偽であると判明している、ワクチンの安全性検証のために特定の人々が同意なしに利用されている、といった陰謀論も削除します」。
こうした動きは重要なのだろうか? そうとも言えるし、そうでないとも言える。特に、人類が近代史においてもっとも重大な公衆衛生の瞬間となるかもしれない時期を迎える中、フェイスブックが具体的にワクチン接種の誤情報への対処法に言及したことは重要だ。フェイスブックではワクチンに関する誤情報が長らく流通しており、禁止や大規模な取り締まりに関する発表は何であれ、非常に重大な意味を持つ可能性がある。
だがその反面、重要かつ多面的な「しかしながら」が存在する。フェイスブックのポリシーの効果は、適用次第だからだ。特に健康分野の誤情報に関しての禁止ルールは、虚偽の健康に関する主張が促進され、増幅される多くのプライベート・グループ内で効果的に適用された場合のみ、その目的を果たせる。フェイスブックはこれまでも、何らかの被害を及ぼすようなデマを取り締まろうとしてきたが、その時もこの点が問題となった。
2019年にフェイスブックが、ワクチンの誤情報を制限するためのポリシー(例えば、誤情報を広めるようなメッセージを宣伝するグループやハッシュタグの推奨を制限するなど)を採用し始めた後も、反ワクチンのエコシステムがフェイスブックのプライベート空間を賑わせ続けた。しかし、パンデミック以降、フェイスブックは差し迫った身体的被害につながるようなコンテンツを禁止するポリシーを引き合いに出し、より積極的に健康に関わる誤情報を削除している。先日、フェイスブックは陰謀論のQアノン(QAnon)に対するポリシーに違反したとして、著名な反ワクチン主義者であるラリー・クックと氏が運営する巨大なフェイスブック・グループを凍結した。
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- アビー・オルハイザー [Abby Ohlheiser]米国版 デジタル・カルチャー担当上級編集者
- インターネット・カルチャーを中心に取材。前職は、ワシントン・ポスト紙でデジタルライフを取材し、アトランティック・ワイヤー紙でスタッフ・ライター務めた。