ワッツアップが転送制限、新型コロナ関連のデマ拡散防ぐ
ワッツアップは、同社が「非常に多く転送されている」と識別したメッセージの転送制限を発表した。新型コロナウイルス感染症に関するデマ拡散のスピードを抑えることが狙いだ。 by Charlotte Jee2020.04.08
フェイスブック傘下のワッツアップ(WhatsApp)は、同社のメッセンジャー・アプリ「ワッツアップ」のメッセージ転送機能に新しい制限を実装すると発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに関するデマを広めるのにワッツアップが使われているという懸念が高まっていることに対応するためだ。 同社のブログ投稿によると、これまではメッセージを5人まで転送できたが、4月7日からは、「非常に多く転送されている」と識別されたメッセージは1人にしか転送できなくなる。口コミ情報の拡散を遅らせ、真実が虚偽に埋もれてしまうのを防ぐのが狙いだ。ワッツアップのやり取りは非公開でエンドツーエンドで暗号化されており、セキュリティが確保されている一方、運営側がメッセージの内容を確認できないため極めて強力なデマの温床になりかねない。
ワッツアップは何年にも渡って世界中で虚偽のコンテンツを共有するために使われてきたが、この問題に関する懸念は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の危機でピークに達した。 同社は、「転送量が大幅に増えて辟易していると言っているユーザーがいます。デマの拡散に寄与する可能性もあります」と説明。 また、噂やウイルスに対する(実際には存在しない)偽の「治療法」、陰謀論がワッツアップで共有されているとの報告が多数寄せられているという。
ワッツアップは、インドで暴徒リンチ事件が相次いだのを受けて、2018年7月に転送制限を始めた。それ以前は、ユーザーは最大256人にまでメッセージを転送でき、転送を示すラベルは付けられていなかった。さらに、メッセージが何度も転送されたことを示す2つの矢印も追加した。 2019年には、メッセージを転送できる人数を5人に減らした。こうした対策を講じても、メッセージを大勢の人に1人ずつ転送することを防げないが、ある程度の抑止力にはなる。これはうまくいったようで、過去1年間で転送が世界中で25%減ったという。
もちろん、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおいて、ワッツアップは否定的な目的でのみ使用されているわけではない。直接会うことができない友人や家族とのつながりを維持するのに役立つのは言うまでもない。米国疾病予防管理センター(CDC)や世界保健機関(WHO)、英国の国民健康サービス(NHS)などの保健当局は、新型コロナウイルスに関する差し迫った質問に答えるためにもワッツアップを使用している。
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- シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。