自称テスラのライバル「ファラデー・フューチャー」はこけおどし企業だったのか?
自称テスラのライバル企業ファラデー・フューチャーは、今年1月のCESで大々的にコンセプトカーを発表したが、内情は火の車とい噂が飛び交っている。 by Michael Reilly2016.12.23
メディアはよくも悪くも報道するが、中国の億万長者ジア・ユエティン(Jia Yueting)が資金を提供した秘密主義のスタートアップ企業、ファラデー・フューチャー(Faraday Future)に関する最近の報道は一貫している。急成長する電気自動車市場に参入し、テスラと競争すると約束したファラデー・フューチャーに関するいくつか記事は、問題のあるビジネス手法のパターンに陥っていることを詳細に伝えており、同社が1台の車も販売せずに崩壊しつつあることを示している。
ザ・バージ(the Verge)が12月22日に伝えた記事によれば、ファラデー・フューチャーは、投資家やサプライヤーの目にとまらないように、知的財産を幽霊会社に隠している。疑わしいが、それ自体は崩壊の兆しとはいえない。しかし、ザ・バージと最近のバズフィードの調査記事が報じたとおり、ファラデー・フューチャーは、異常なほど現金を浪費しており、巨額の債務を抱えている。さらに出資者のジアは、ファラデーの従業員を選び出し、自身のテック企業ルエコ(LeEco)の自動運転車プロジェクトに取り組ませているという。従業員は、ファラデーの自動運転車はベイパーウェア(完成の目処が立たないまま発表された製品)だという。
それでも、ファラデー・フューチャーは、近日販売予定の車は世界をあっと言わせると堂々と主張している。宣伝用ビデオでは、レース場でフェラーリやテスラを相手に競争で勝つ様子が映されている。ファラデーの経営幹部の話によると、同社の電気自動車には100〜120kWhのバッテリー(テスラの大容量バッテリーパックP100Dも100kWh)が搭載される。さらに、顧客は車を所有することなく、サブスクリプションサービスに登録し、好きなときにいつでもファラデーの自動自動車を呼び出せるという。
宣伝文句を聞くと、ライドシェアと自律自動車をマッシュアップした高級版ジップカー(カーシェアリングサービス)のようだ。つまり、バズっているキーワードをごちゃ混ぜにして、個人向け輸送業界用にひとつにまとめた感じがする。
ファラデー・フューチャーは来年1月にラスベガスで開催されるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、初の市販モデルカーを発表すべく出展を計画中であり、同社が実際に壮大な崩壊に突き進んでいるかはすぐに明らかになる。2016年のCESで散々な目に会ったファラデー・フューチャーだが、2017年のCESはお披露目パーティーになり得る。
すべてが順調なら、ファラデー・フューチャーに未来はあるだろう。そうでないなら、ファラデーの進路は限られている。ある情報筋はザ・バージに対して「ファラデー・フューチャーがCESの後に資金を工面できない場合、来年2月には資金が底をつくだろう」と語った。
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クレジット | Photograph by Greg Baker | Getty |
- マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
- マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。