世界全体では160人に1人の子どもが自閉スペクトラム症を持っている。米国ではこの比率が3倍近いが、その理由は診断と報告の実施状況が異なるためである可能性が高い。自閉スペクトラム症の特徴は多くの場合、ソーシャルスキルの困難、情緒的な困難、コミュニケーションの困難にあるとされる。治癒できるものではないが、早期の介入(たとえば言語療法や行動療法)で発達状態を改善することはできる。
しかし、自閉スペクトラム症を持つ多くの子どもたちには週に20時間の療育が勧められており、人間による介入では多くの場合、費用と時間がかかってしまう。テクノロジーを使った万人向の介入は以前からあるが、対象となる子ども一人ひとりによって症状と行動パターンが大きく異なるため、設計が難しい。
幸いなことに、ソーシャルなやり取りを通じて利用者を支援する近年のロボットの発達によって、新しく有望な方法が登場した。この方法を用いれば、自閉傾向のある患者たちが、より手頃な出費でパーソナライズされた療育を受けられる。理論上は、家庭用ロボットが人間の療法士を補佐して、繰り返すことでより大きな意味があるトレーニング活動を肩代わりできる可能性がある。さらに、人工知能(AI)により、個人に合わせた療育体験を支援できるかもしれない。
サイエンス・ロボティクス(Science Robotics)誌に2月26日付けで掲載された研究は、こうした療育を家庭で推進するコンパニオン・ロボットを実現する人工知能(AI)の重要な一歩となった。マヤ・J.マタリッチ教授が率いる南カリフォルニア大学(USC)のチームが構築した機械学習モデルは、音声データと映像データ(自閉傾向のある子どもたちとロボットとの対話とアイコンタクト)から、子どもたちが与えられたトレーニング活動にしっかり取り組んでいるかどうかを予想する。取り組みが不十分な場合は、子どもたちの注意を再び療育の演習 …
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