雪だるま形のカイパーベルト天体が明かす、惑星の起源
NASAのニュー・ホライズンズ探査機が、冥王星の彼方のカイパーベルト天体「アロコス(旧称:ウルティマ・トゥーレ)」をフライバイ(接近通過)した際に収集したデータの分析結果の論文が3本発表された。これらの論文は、アロコス自体の誕生だけでなく、太陽系の他の微惑星の起源についても解き明かすものとなっている。 by Neel V. Patel2020.02.17
2015年、冥王星を無事に通過した米国航空宇宙局(NASA)の探査機「ニューホライズンズ(New Horizons)」は、次にどこへ行くか選択を迫られた。科学者たちはアロコス(Arrokoth、旧称:ウルティマ・トゥーレ、Ultima Thule)を選んだ。これは奇妙な二葉のような形をした赤い岩の天体で、地球から約66億キロメートル離れている。
アロコスには大気も多様な地質もないが、それを補って余りあるのがその外見だ。宇宙を漂うヘンテコな雪だるまのような形で(端から端まで長さ約35キロメートル、幅約19キロメートル、厚さ約10キロメートル)、2枚のパンケーキのように部分的に平たくなっている。この一風変わった構造のおかげで直感的には捉えにくい重力場と回転が生じる。「これまで見た他のどの天体にも似ていません」と、セントルイス・ワシントン大学の惑星科学者であるウィリアム・マッキノン教授はいう。
いま意見が一致しているのは、アロコスは科学者が最初に考えたよりずっと興味深いということだ。その起源についての物語は、太陽系の大部分が実際にはどのように形成されたかを反映しているかもしれない。
ニュー・ホライズンズ探査機は昨年の元日に時速5万キロメートル以上でアロコスの近傍を通過し、アロコスから3500キロメートル以内まで接近した。2月13日付のサイエンス(Science)誌に発表された三 …
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