KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
わずか4基で世界中のネット接続をカバー、巨大衛星群不要の新提案
Pixabay
宇宙 無料会員限定
Here’s how just four satellites could provide worldwide internet

わずか4基で世界中のネット接続をカバー、巨大衛星群不要の新提案

インターネット接続サービスを世界規模で提供するために数万基の人工衛星で構成するメガコンステレーションを打ち上げようとする動きが盛んになっている。しかし、高軌道衛星を使用すれば、はるかに少ない数でグローバルな範囲をカバーするサービスを提供できるとする研究が発表された。 by Neel V. Patel2020.01.21

スペースX(SpaceX)の「スターリンク(Starlink)」プロジェクトをはじめとする、いくつかの企業が提案している方式では、世界規模のインターネット接続を提供するのに何万基もの人工衛星が必要とされている。だが実は、そうした巨大コンステレーションは必要ない。そうであれば、巨大コンステレーションが原因で生じるような厄介な問題にも悩まされずに済む。ゲーマーが満足する品質よりわずかに遅い速度(0.5秒程度の遅延)でよいのなら、通常よりずっと高い高度で周回するわずか4基の衛星群で、世界規模のインターネット接続を継続してカバーできることは1980年代の昔から知られている。

だが、高軌道で通信衛星を運用している世界最大手の衛星インターネット・プロバイダーであるヒューズネット(HughesNet)とビアサット(ViaSat)の通信カバー範囲は、世界規模には遠く及ばない。リモート・センシングやナビゲーションなどのサービスを提供しているその他の衛星ネットワークも、世界規模というレベルにはまったく及ばない。なぜだろうか。

当然のことだが、大きな障害はコストだ。人工衛星の軌道をかく乱する要因はいくつもある。大気の自然な抵抗、地球の重力場の摂動、太陽と月の引力の干渉、さらには太陽放射に起因する圧力に至るまでさまざまだ。これらの問題に対処するには、軌道を一貫して安定させるのに必要な膨大な量の推進燃料を人工衛星に搭載しなければならない。燃料の重量は通常、人工衛星の質量の2倍に及ぶ。すなわち、4基の人工衛星で世界規模のインターネットを実現しようとすると、製造、打ち上げ、運用に膨大な費用がかかるのだ。

エアロスペース・コーポレーション(Aerospace Corporation)のエンジニアたちが『ネイチャー・コミュニケーション』誌に掲載した新しい研究では、軌道をかく乱するこの種の力を利用して人工衛星の軌道の維持させるという発想の転換を提案している。もしこの手法がうまくいけば、わずか4基の衛星で世界規模のインターネット接続を継続的にカバーでき、コストもわずかで済むはずだ。

現在、高 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る