続くオーストラリアの山火事、気候変動が被害を拡大
数万人のオーストラリア人が自宅から避難している。大陸南東の海岸地域で何百もの火災が猛威を振るっているためだ。そして、この被害の大きさは気候変動が原因であることにほぼ間違いない。
10月以降、1000棟以上の建物が全焼し、17人が亡くなった。オーストラリア史上、すでに最悪の火災シーズンの1つに数えられるが、南半球オーストラリアの夏はようやく始まったばかりだ。
夏の山火事はオーストラリアではよくあることだが、気候変動が被害を悪化させている。
オーストラリア気象局の2018年の報告書によると、春の降水量はここ数十年で減少している上に、気温が上昇し、猛暑がより一般的になり、干ばつはさらに深刻になっている。これらの要素は「非常に高い火災の危険性」をはらむ日数を増やし、火災シーズンを春まで延長する原因にもなっている。
2019年はオーストラリアの観測史上もっとも暑く、もっとも乾燥した年だった。12月の猛烈な熱波は全国で最高気温の新記録を打ち立て、現在猛威を振るっている火災の条件が揃った。
何千人もの消防士が烈火と戦っている。政府は軍用艦とヘリコプターを配備して物資を投下し、海岸線に取り残された人々を救出した。今週末の高温と強風予報により、地獄さながらの光景がさらに広がることを懸念した当局は、一部地域で避難指示を出している。
火災で荒廃した地域の住民たちがスコット・モリソン首相を怒りを持って激しく批判したのは、モリソン首相が気候変動の危険を軽視し、繰り返し勧告されていた山火事やその他の災害に対する対策を強化しなかったからだ。確かに、モリソン首相の保守的な連立政権は石炭推進運動で成功を収めており、モリソン首相は一部の気候変動活動(編注:環境団体が呼びかけている化石燃料企業との取引ボイコットを求めるキャンペーン)を法律で禁止することを約束した。 また、この数週間で、モリソン首相は火災と気候変動の関係性に異議を唱えていた。