「猛暑」は妊婦や新生児に悪影響、格差拡大も
猛暑日が、新生児と妊婦、特に黒人女性の入院の確率を高めることが明らかになった。
全米経済研究所が発表した調査結果は、気候変動がさらに人間の健康に悪影響を与え、また人種間の健康格差を悪化させる可能性を指摘している。
アリゾナ、ニューヨーク、ワシントン州の病院の退院記録の分析によると、妊娠中に猛暑日が1日続くと、入院可能性が白人女性の場合で約2.6%、黒人女性の場合で5%増加していたという。また妊娠中期に暑い日が続くと、赤ちゃんが脱水状態で生まれる可能性が31%増加し、生後1年以内に再入院する確率が3.4%増加していた。
調査結果は、黒人女性は暑い地域に住んでいる傾向があり、エアコンやその他の暑さをしのぐ方法が少ないことから、白人女性よりも極端な高温にさらされる可能性が高いと指摘している。
暑さが人間に与える危険性はよく知られてはいるものの、完全には理解されていない部分もある。
複数の先行研究は、妊娠中の女性および生まれたばかりの赤ちゃんが極端な気温にさらされることで、出生率の低下や乳児死亡率の上昇、認知機能障害をもたらすことを明らかにしている。 スタンフォード大学医学部の経済学者であり、今回の研究論文の著者の1人であるマヤ・ロッシン=スレーター助教授は2017年、幼少期に高い気温へさらされることで、30年後の収入が変動する可能性があるとの研究論文も発表している。
この研究は、発達段階にある胎児や乳児が、特に高い気温の影響を受けやすいことを指摘するものだ。だが、熱波は成人にも悪影響を及ぼし、暴力や自殺率、病院の受診、死亡、および世界的不平等の増大を招く。
どれも悪いニュースだ。地球温暖化が進むにつれ、米国でも猛暑日が多くなっているからだ。国連の先行研究では、平均気温が32℃を超える日は、現在のところ平均的な米国の郡では年間1日ほどだが、2070年ごろまでには40日を超えると推定されている。