KADOKAWA Technology Review
×

ニューズラインエマージング・テクノロジーの最新情報をお届け。

麻痺患者がパワード・スーツで歩行に成功、脳波で操作
Fonds de Donation Clinatec
A brain-controlled exoskeleton has let a paralyzed man walk in the lab

麻痺患者がパワード・スーツで歩行に成功、脳波で操作

脳で操作するパワード・スーツにより、麻痺患者が再び歩行することに成功した。研究室内の安全性が確保された環境だが、被験者はほかにも脳に装着した2つのセンサーを使ってパワード・スーツの腕と手を操作した。リヨン在住の被験者ティボーは、4年前に高さ12メートルのバルコニーから転落し、肩から下が麻痺状態となった。

ティボーは、運動を制御する脳の部分に64の電極を含むインプラントを2個埋め込む手術を受けた。これらのインプラントが脳波を読み取り、ソフトウェアがそれを変換して運動の指示を出す。クリナテック(Clinatec)とグルノーブル大学が開発したこのパワード・スーツに関する論文はランセット誌(The Lancet)に掲載されている。

ティボーは、天井からハーネスで吊り下げたパワード・スーツを動かすため、脳の信号を使ってコンピューター・ゲームのアバターを操作する訓練を何カ月も実施した。その結果、パワード・スーツを装着してゆっくりと歩行し、思い通りに停止できるようになった。

将来的に、似たようなテクノロジーによって車椅子患者も脳で考えただけでロボット・スーツを動かせるようになることが期待される。驚くべきブレークスルーだが、実用化されるのはまだ何年も先だ。例えば、研究室の外でもパワード・スーツで歩けるようにするには、スーツが自ら安全にバランスをとる必要がある。

シャーロット・ジー [Charlotte Jee] 2019.10.09, 6:55
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューは有料会員制サイトです
有料会員になると、毎月150本以上更新されるオリジナル記事が読み放題!
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る