仏独が「リブラ」に共同戦線、独自のデジタル通貨を計画か
フランスとドイツは、フェイスブックが提案しているデジタル通貨「リブラ(Libra)」に対抗するために共同戦線を結成した。
先週開かれたユーロ圏財務相会議の後、9月13日に発表された共同声明の中で、フランスとドイツは、フェイスブックのリブラに関する計画について、セキュリティ、投資家保護、資金洗浄(マネーロンダリング)、テロ組織の資金調達、「通貨主権」などに関連するリスクに対し、同社が適切に対処することを「確信できるものではありませんでした」とし、「通貨は国家主権固有の権限であり、民間の事業体が主張することはできないと確信しています」と述べた。
フェイスブックが来年グローバルなデジタル通貨を発行するという大胆な計画は、トランプ大統領を含む米国の政策立案者たちからの多大な懐疑的見方と反対意見に直面しており、 同社はこれに、ワシントンD.C.でのロビー活動を強化することで対応している。 今回の共同声明は、リブラが欧州で直面する政治的課題は、より深刻なものになる可能性があることを示唆している。
フランスとドイツの共同声明は、「欧州の中央銀行に対し、公共のデジタル通貨のソリューションの可能性に関する課題への取り組みを加速するよう働きかけていきます」と締めくくられている。 これは何を意味するのだろうか? どうやら、欧州中央銀行はひそかに独自のデジタル通貨プロジェクトに取り組んでいるようだ。
いまや、銀行がデジタル通貨に本腰を入れるのを、フェイスブックが促した様相を呈している。財務相会議後の記者会見で、欧州中央銀行幹部のブノワ・クーレは、リブラを「警鐘」と呼び、欧州におけるリアルタイム決済機能へのアクセス拡大を図る取り組みを促進させるだろうと述べた。同氏はまた、「中央銀行が発行するデジタル通貨についての考え方も強化してゆく必要があります」とも述べている。