KADOKAWA Technology Review
×
太陽の400億倍の質量、観測史上最大のブラックホール見つかる
X-ray (NASA/CXC/SAO/A.Vikhlinin et al.); Optical (SDSS)
宇宙 Insider Online限定
Astronomers have discovered the largest black hole ever observed

太陽の400億倍の質量、観測史上最大のブラックホール見つかる

くじら座の銀河団の一員である「ホルム15A」の中心に、天体観測史上最大のブラックホールが見つかった。地球から7億光年の彼方にあるが、ブラックホールの初撮影に成功した「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」で撮影できる可能性が十分にある大きさだ。 by Emerging Technology from the arXiv2019.08.13

地球からおよそ7億光年離れた銀河の中に、観測史上最大のブラックホールが見つかった。このブラックホールは非常に大きいため、今年、これよりはるかに小さいブラックホールの撮影に初めて成功したのと同じ電波望遠鏡群で撮像できる可能性があると天文学者たちは考えている。

今回ブラックホールが発見された「ホルム(Holm)15A」と呼ばれる銀河は、北半球と南半球の両方から見えるくじら座に位置する銀河団「エイベル(Abell)85」の中で最も明るい銀河だ。「ホルム15A」は、1937年にスウェーデンの天文学者であるエリック・ホルムバーグによって発見された。

「ホルム15A」は非常に遠くにある銀河なので、1990年にハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられ、より最近になって地上巨大望遠鏡が建設されるまで、詳細に調べることができなかった。天文学者はすぐに「ホルム15A」がいささか妙であることに気付いた。

「『ホルム15A』の際立った特徴は、銀河の中心拡散領域の大きさとその光の弱さです」とドイツにあるマックス・プランク地球外物理学研究所のキアヌシュ・メルガン研究員らはいう。銀河の中心部が異常に薄暗い一方で、その他の領域は比較的明るい。それはなぜなのだろうか。

可視光と赤外線のスペクトル領域で夜空を観測する「超大型望遠鏡(VLT:チリの天文台にある、光ファイバーで相互結合された口径8メートルの望遠鏡4台の総称)」が収集したデータを用いることで …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
  2. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る