フェイスブックに巨額の制裁金、「提訴すべき」反対意見も
フェイスブックに科した50億ドルの制裁金とそれに関わる命令は、同社が人々のデータを収集または使用する方法に対し、説明責任を強制したり、制限を課したりするものではない。米国連邦取引委員会(FTC)の委員の1人は、7月24日に発表した文書で、そのように警告した。
FTCは、消費者のプライバシーを侵害した企業に対する史上最高額の制裁金を科してフェイスブックの鼻をへし折ってやったと鼻高々だった。しかし、実際には、制裁金に関するニュースが流れた7月12日、フェイスブックの株価は上昇した。その理由を知りたければ、FTCの委員の1人であるレベッカ・ケリー・スローターが発表したこの反対意見を読むことをおすすめする。
スローターの言い分はこうだ。今回の制裁金は確かに歴史的なものであることは間違いなく、フェイスブックに対し、今後の行動を改善するよう付随的に約束させた(ただし、法的拘束力はない)。しかし、これらはフェイスブックの行為を根本的に変えるものではないし、同社が将来、法律を再度破ることを抑止するものでもない。「この和解案で合意するのではなく、フェイスブックとその最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザッカーバーグに対して訴訟を起こすべきだったと私は信じています」とスローターは述べる。スローターのもう1つの懸念は、一般の人々に対する透明性の欠如だ。FTCはフェイスブックの慣行に関して、多少なりとも知見を得られるだろうが、「一般の人々は完全に闇の中です」。
今回の和解によりFTCは、「2019年6月12日以前に発生したすべての申し立て」に対し、フェイスブックを提訴できなくなってしまった。
和解は、FTCの5人の委員による3対2の投票結果によって承認された。反対票を投じたのはスローターとロヒット・チョプラの2人だった。反対したスローターとチョプラはいずれも民主党員で、賛成した3人の委員は共和党員だ。FTCのメンバーは大統領が指名し、上院によって承認される。任期は5年間。