人工知能の理解がきっと深まる、グーグルのオンライン実験室
グーグルの素晴らしいAI実験室を体験すれば、人工知能のテクノロジーがどう動作しているか、最前線で何が起きているのかがわかるはずだ。 by Will Knight2016.11.21
グーグルは、さまざまな創造的手法に機械学習の進展を取り込む、いくつかの人工知能(AI)実験を発表した。
公開されたのは、指示されたモノをプレイヤーが絵に描いてコンピューターに認識させる「はやく描いてよ!(Quick, Draw!)」(アップルの描画機能「クイックドロー」は「QuickDraw」)、創造的なコンピューターを使って音楽を作曲できるA.I. デュエット、ニューラルネットワークがどう情報を描写し世界を見るのかを視覚化するソフトなどだ。
プロジェクトは、グーグルが刷新したクラウド・コンピューティング・プラットフォームに構築した、新たなAI機能のデモンストレーションである一方で、AIのわかりにくさを解消し、テクノロジーに親しみを持たせようとしている。
たとえば「はやく描いてよ!」 は、プレイヤーは6つの簡単なモノを描くのに各20秒間与えられ、制限時間内にプレイヤーが描いているモノをコンピューターに当てさせるゲームだ。文字認識用の学習システムで絵を認識させているが、システムは形だけでなくモノを描くときの描き順も分析している。何百万台のスマホで使われている機械学習の手法を体験として理解できる、面白い方法だ。アヒルを描いても必ずジャガイモに間違えられたが、かなり病みつきになるゲームだ。
「A.I. デュエット」は、人間とアルゴリズムの共同作業で音楽を作る。「プロジェクト・マゼンタ」に加わるグーグルの研究者は、ニューラルネットワークで人間の創造性を模倣する方法を探究している。特に人間がどのように音楽を創造するのかには、未解明なことが多く、研究成果が楽しみだ。グーグルのプロジェクトでは、人間の音楽的才能を模倣することで、人間の知能を探究することも目的である。
ニューラルネットワークの内部構造の解明を目指すプロジェクトでは、高次元空間の可視化が面白い。データ可視化の専門家が開発している研究で、巨大なニューラルネットワークに記憶されているさまざまなデータ同士がどう結び付いているのかを目に見える形で示そうとしている。
人工知能の判断はほとんどの場合見事なものだが、判断は一方的で、なぜそう判断したのかはさかのぼりにくいが、視覚化できれば強力な機械学習システムを理解できるかもしれない。
こうした取り組みは、専門家だけではなく、一般社会にも重要な意味がある。たとえば、アルゴリズムが、一見健康的な人が何かの病気を発症するリスクがあると診断したとしよう。人工ニューラルネットワーク内部の接続を検査できれば、機械がなぜそう判断したのかが理解しやすくなり、治療を正当化しやすくなる。
したがって、もしマシン・インテリジェンスの革命を理解したいなら、グーグルのオンラインAI実験室は十分に訪れる価値があるはずだ。
(関連記事: A.I. Experiments, Silicon Angle, “OK, Computer, Write Me A Song,” “The Hit Charade,” “AI’s Language Problem”)
- 人気の記事ランキング
-
- What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
- Google DeepMind has a new way to look inside an AI’s “mind” AIの「頭の中」で何が起きているのか? ディープマインドが新ツール
- Google DeepMind has a new way to look inside an AI’s “mind” AIの「頭の中」で何が起きているのか? ディープマインドが新ツール
- This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
タグ | |
---|---|
クレジット | Image courtesy of Google |
- ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
- MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。