量子コンピューターで時間を巻き戻した? お騒がせ新研究の真相
「量子コンピューターで時間の巻き戻しが可能になった」かのようなニュースが海外メディアで話題になっている。だが、記事の元になった論文の内容は、タイムマシンの発明とはほど遠いものだ。 by Konstantin Kakaes2019.03.15
量子物理学にとって、興奮に満ちた24時間であった。もし、インターネットに書かれていることをそのまま信じれば、の話であるが。
目を疑うような見出しの数々だった。ニューズウィーク誌の「科学者が量子コンピューターで時間を巻き戻した(Scientists Have Reversed Time in a Quantum Computer)」をはじめ、ディスカバー誌の「科学者がIBMの量子コンピューターで時間を巻き戻し、物理法則を破った可能性(Scientists Used IBM’s Quantum Computer to Reverse Time, Possibly Breaking a Law of Physics)」、英『インディペンデント紙の「量子コンピューターの画期的な研究で科学者が時間を巻き戻し(Scientists ‘Reverse Time’ With Quantum Computer in Breakthrough Study)、コスモポリタン誌の「科学者が時間を巻き戻し、バックトゥーザフューチャーの世界が現実に(Scientists just turned back time and it’s like Back to the Future is coming true)」など、数え上げるときりがないほどだ。
これらの見出しの引き金となったのは、サイエンティフィック・リポーツに掲載された「IBM量子コンピューターにおける時間の矢とその巻き戻し(Arrow of time and its reversal on the IBM quantum computer)」という刺激的なタイトルの論文だ。同論文の著者たちによると、ある実験の結果、彼らの言うところの「時間の巻き戻しや逆行」に関する複数の研究の道筋が見えてきたという。
直感に反 …
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