インテル、シリコン製量子プロセッサーの検査装置を共同開発
インテルが新たに開発した極低温ウエハー・プローバー(上記写真)は、量子コンピューターの潜在的な能力の重要な要素である量子ビット(キュービット)の検査をスピードアップするのに役立つだろう。
キュービットを生成するのは難しい。宇宙空間より温度が低い冷蔵庫のような装置内で作られる場合もある。性能に関するわずかなデータを取得するのにも何日もかかり、まして完全な検査工程を遂行するには数カ月を要することもある。
これは非常に厄介な問題だ。というのも、量子コンピューターが市場に出回るようになったら、キュービットの検査は現在よりも遥かに迅速に実施されねばならないからだ。従来のトランジスターであれば、約1時間で完全に検査され、そのフィードバックはウエハーを作る製造ラインにすぐさま送られる。
インテルが開発した極低温ウエハー・プローバーは、シリコン製の量子プロセッサーの検査を加速させる初のツールだ。インテルはこの装置を、フィンランドのテック企業であるブルーフォース(BlueFors)、アフォア(Afore)の2社と共同開発した。
インテルの量子ハードウェア部門の責任者であるジム・クラークによると、ウエハーを数ケルビン(絶対温度)まで素早く冷却するこの装置により、キュービットの検査を、標準的な希釈冷凍機を使用する場合よりも「数ケタ」速く終えられるという。
真に実用的な量子コンピューターを作るには、膨大な数のキュービットが必要になる。「ノイズ」として知られる現象により、温度のごくわずかな変動ですら、キュービットの繊細な量子状態は崩壊してしまうからだ。そのため現在、製造するキュービット数をどうやって増やしていくかが重要な問題となっている。一方で、ノイズ問題のため、量子コンピューターが主流になることは今後もないだろうと考えている専門家たちもいる。