KADOKAWA Technology Review
×
ドローンはアフリカ社会を変えるのか?米専門家に聞く
Kate Warren
ニュース Insider Online限定
Why drones often aren’t the solution to developing-world problems

ドローンはアフリカ社会を変えるのか?米専門家に聞く

ドローンはアフリカの発展に「変革をもたらす」技術だと期待され、ドローンを用いたプロジェクトがアフリカ大陸のいたるところで実施されている。しかし実際のところ、課題解決にどの程度役に立っているのだろうか。アフリカのドローン導入事例を調査しているジョージタウン大学のキャサリン・チャンドラー助教授に話を聞いた。 by Konstantin Kakaes2019.03.13

新たなテクノロジーは、決して無為に生み出されるわけではない。それらは社会的、経済的、政治的なコンテキストの中で生まれ、今度は自らを生み出した環境に影響を与える。ジョージタウン大学の文化・政治課程で教鞭をとるキャサリン・チャンドラー助教授は、テクノロジーと社会の相互変化を扱う研究の一環として、アフリカのドローン導入事例を調査している。この調査プロジェクトについて、チャンドラー助教授に話を聞いた。

——アフリカでは現在、ドローンはどのように使用されているのですか?

ドローンを用いた小規模なプロジェクトは、アフリカ大陸のいたるところで多数実施されています。野生動物の生息数の集計からワクチンの配達、島々の地図の作成、 災害対策テクノロジーとしての利用まで、内容はさまざまです。私が興味を持っているプロジェクトの1つが、ザンジバル大学が主導するイニシアチブです。 このプロジェクトチームは飛行時間が30~40分しかない小型の商用ドローンを使用しています。このため、ザンジバルの地図を作成するのに2年以上もかかりました。

プロジェクトの目的は、学生が土地計画や天然資源の管理に役立つ地図を作成することで、ハリケーンや石油の流出事故などの災害が起こったときに島々がどうなるかを大まかに把握できるようにすることでした。 このプロジェクトはもともと、長年続いている土地争いの解決を意図したものではありませんでした。しかし、地図が土地を巡る争いにどんな影響を与えるかを把握することが、ザンジバルの地図作成とその情報公開における課題の1つとなっています。

——ドローンで集めたデータを使って、どのように土地争いを解決できるのですか?

どうするのかはよく分かっていませんし、実際に解決するのか …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated. CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る