
MIT教授が作った科学志向のヘアケア製品メーカー
ヘアケア製品企業のリビングプルーフが、製品開発にどうバイオテクノロジー生かしているのかの取材記事。 by Elizabeth Woyke2016.11.03
使用中のヘアケア製品はどれだけ科学的だろうか。美容系企業(特に小規模の場合)は、原材料の製造元から既製品を購入し、追加成分や香料を加えただけの製品を販売している場合がある。
ヘアケア製品メーカーであるリビングプルーフ(本社マサチューセッツ州ケンブリッジ)の手法はもっと科学的だ。従業員は約60名に過ぎないが、全ての製品が自社製で、自社の研究室で開発された独自成分(多くは特許取得済み)が元になっている。リビングプルーフ製品開発部のロン・マクローリン部長は「既製の材料の配合を改良するのではなく、顧客にこうあって欲しいと願う結果を考えています。その上で、その効果をもたらす配合を求めて逆行分析するのです」という。
リビングプルーフは2005年に2人のマサチューセッツ工科大学(MIT)の生物化学の教授(役員一覧)によって設立され、美容に関する一般的な課題に科学的に取り組んでいる。現在、リビングプルーフは42種類のシャンプー、コンディショナー、スタイリングクリーム/スプレーと主力商品であるコンディショナーを32カ国で販売している。その製法は秘密だが、先日、MIT Technology Reviewは研究室を訪れ、リビングプルーフがどのように新しいテクノロジーを開発し、製品を作り出しているのかを取材した。
未知のニーズの発見
リビングプルーフは新製品を原則として3カ月ごとに発表する。リビングプルーフの科学者やマーケターは、展示会やヘアスタイリスト、消費者からのフィードバック等、さまざまな情報源からアイデアを引き出す。一度製品のコンセプトが採用されると、リビングプルーフは通常14カ月以内に製品を作って発売する。
独自のテクノロジー
ほとんどのリビングプルーフの製品には、OFPMA(オクタフルオロペンチルメタクリル酸)、PBAE(ポリベータアミノエステル)、ETAS(Expandable, Textured Aero-Spheres:ボリューム感と手触りのよさを生む空気の玉)という3つの独自成分のうちの1つが含まれている。OFPMAは「健康な髪の成分」で、髪の表面エネルギー(表面張力)を減らし、湿気や摩擦から守る働きがあり、毛の縮れや脂分を減らす。PBAEは「ボリュームアップ成分」で、髪の束に極めて小さな「ボツボツ」を残し、髪の見た目と質感を豊かにする。ETASはリビング …
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