ファーウェイ問題の本質
「5Gリスク」理解のために
知っておきたい5つのこと
米国政府が中国企業の「ファーウェイ」を強力に排除しようとしている動きの裏には、次世代携帯電話無線通信網「5G」に関する米中両国の思惑がある。米国は、産業や人々の生活に大きな影響を及ぼし、世界の競争、経済力、国際安全保障の将来にとって重要となる5G技術の市場を、中国企業に支配されるのはリスクが大きすぎると考えているのだ。 by Will Knight2019.02.13
かつて世界の2大超大国が核兵器開発に夢中になっていた時代がある。現在の火種は米国と中国の間にあり、そこにはトースターをインターネットにつなぐための無線技術が絡んでいる。
米国と中国はいま、中国の通信機器メーカーのファーウェイ(華為)を巡る政争の渦中にある。最近、米国は長年の批判を強め、同社を企業秘密窃取と詐欺罪で訴えたほか、中国政府や中国軍との関係についても主張している。
ファーウェイはこの容疑を否定しており、プライバシーとセキュリティの名のもとに社内の記録を守ろうとしている。一方、英国、ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、ドイツ、日本など米国の同盟諸国は、国家安全保障上の懸念を理由に、ファーウェイ製品の使用をすでに制限するか、または今後制限することを検討している。
しかし、こうしたニュースの裏では、次世代携帯電話無線通信網「5G」というネットワーク技術の到来とその所有者を巡った争いも起こっている。
以下に、5Gと2国間の緊張関係における5Gの役割について知っておくべき5つのことを記す。
1. 5Gとは?
5Gは単一のプロトコルやデバイスではなく、自動運転自動車から家電まで、あらゆるモノを無線でつなげて協調して機能することを目指す、一連のネットワーク技術を指す。最大で毎秒20ギガビットの帯域幅を提供できるとされ、スマホで高解像度の映画を瞬時にダウンロードしたり、実質現実(VR)や拡張現実(AR)を利用したりできる。
5Gを搭載した最初のスマホとインフラは2019年に登場する予定だが、完全な移行にはそこから何年もかかるだろう。
2. なぜ優れているか?
5Gのネットワークは2つの異なる周波数域で動作する。1つのモードでは、既存の4GやWi-Fiネットワークと同じ周波数を使用し、より効率的な符号化方式と大きなチャネルサイズを使うことで通信速度を25%から50%向上させる。もう1つのモードでは、さらに高いミリ波周波数を使って、短い距離ではあるが、より高速にデータを送信できる。
ミリ波周波数の電波は短距離で途絶えるため、5Gネットワークには多くの送信機が必要となる。送信機の多くは、ほんの20メートルから40メートル程度の間隔で設置されることになる。5Gネットワークに接続されたデバイスは、従来のハードウェアと同じように、これらの送信機の間をシームレスに切り替える。
帯域幅を増やすため、5Gのそれぞれのセル …
- 人気の記事ランキング
-
- What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
- Google DeepMind has a new way to look inside an AI’s “mind” AIの「頭の中」で何が起きているのか? ディープマインドが新ツール
- Google DeepMind has a new way to look inside an AI’s “mind” AIの「頭の中」で何が起きているのか? ディープマインドが新ツール
- This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画