1兆ドル産業の海運業界にはIoTの巨大なビジネスチャンスが転がっている
国際貿易業界で、貨物の出荷は最も複雑な作業だが、最もネット接続が遅れた分野でもある。 by Nanette Byrnes2016.10.25
フランスの国際的貨物輸送企業ログフレ(Logfret)創業者の孫で、米国法人で販売担当役員を務めるアレクサンダー・ミレーが、中国から米国へ、あるいは米国からヨーロッパに発送する貨物を予約する方法は、祖父ジャン・フランソワ・ミレーが1970年代に同社を設立したときとほとんど変わらない。ログフレは、世界的な代理店ネットワークを活用し、各国の関税、税金、罰金、港湾の要件を知り抜いており、ミレーは、トラック運送会社や航空会社、船主と価格交渉し、大量の貨物輸送による好条件を引き出し、節約した一部を顧客に還元する。
ミレーは24時間以内に顧客に見積りを出すように心掛けているが、貨物輸送業界では、通常、運送費の見積りを出すだけでも2~3日かかることも珍しくない。商品や原材料を鉄道や船、飛行機で発送する1兆ドルのグローバルビジネスは、透明性とスピードの両方において、他の業界がこれまで経験してきたコンピューター化やクラウド化の波をほとんどかぶっていない。デジタル化への全面的な見直しを怠ったのが大きな原因だ。一方で、資金力が豊富な成長中のスタートアップ企業が、海運業界の変革を推し進めている。
たとえば、今年参入したオンライン市場のフレイトス(本社イスラエル)は、旅行案内サイト「エクスペディア」の貨物版のような役割を果たし、送り主がオンラインで予約できるようにした。フレイトス起業のきっかけは、創業 …
- 人気の記事ランキング
-
- What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
- Why AI could eat quantum computing’s lunch AIの急速な進歩は 量子コンピューターを 不要にするか
- Google DeepMind has a new way to look inside an AI’s “mind” AIの「頭の中」で何が起きているのか? ディープマインドが新ツール
- Google DeepMind has a new way to look inside an AI’s “mind” AIの「頭の中」で何が起きているのか? ディープマインドが新ツール