KADOKAWA Technology Review
×
「ブラジル版トランプ」誕生で地球規模の気候変動リスク
Mario Tama | Getty Images
ニュース Insider Online限定
Brazil’s presidential election could mean billions of tons of additional greenhouse gases

「ブラジル版トランプ」誕生で地球規模の気候変動リスク

ブラジル大統領選挙の結果と温室効果ガスの排出量との間にこれほど密接な関係があるとは多くの人は考えもしなかったのではないだろうか。「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボルソナロ政権の誕生によってアマゾン熱帯雨林とセラード・サバンナの開発が進めば、大気中への二酸化炭素放出量が40〜60億トン増えるというのだ。 by James Temple2018.11.21

ブラジルの極右政治家であるボルソナロ次期大統領が、アマゾン熱帯雨林とセラード・サバンナの破壊を加速させるかもしれない——。環境問題専門家や科学者らはいま、そんな懸念を抱えている。アマゾン熱帯雨林とセラード・サバンナは世界最大級の炭素貯蔵庫の1つとされ、大量の温室効果ガスを大気中から吸収し、樹木や草、土壌などに貯蔵しているのだ。

選挙運動での謳い文句、それに農業関連産業との癒着によって、ボルソナロ次期大統領が環境保護上の規則や監視を緩めるのではないか? そう話すのは、グリーンピースのブラジル・アマゾン・キャンペーンのコーディネーターであるティカ・ミナミだ。もしそうなれば農場経営者たちは待ってましたとばかりに自然を焼き払うか、さもなければ瞬く間に土地を開墾して大豆やさとうきび、家畜牛を増やし、その結果、膨大な量の二酸化炭素が放出されて大気中に戻ることになる。

温室効果ガス排出量の15%が「森林伐採と熱帯雨林の劣化」に起因していることが、すでに研究からは明らかになっている。

アマゾン熱帯雨林

アマゾンにおける森林伐採は、「セーブ・ザ・レインフォレスト(熱帯雨林を守れ)」運動や土地使用に関する規制強化などを背景に、過去10年間で大幅に減少している。だが、徐々にではあるものの再び上昇傾向に転じており、ボルソナロ次期大統領の就任によって一気に上昇する可能性もある。

アマゾ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
  2. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
  3. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る