なぜノーベル賞受賞者には女性が少ないのか?
科学の分野で女性がノーベル賞を受賞する確率は、科学の分野における女性研究者の比率から予測される確率よりもはるかに低い。そこには女性に対する偏見ではなく、女性の研究環境における制約が影響しているようだ。 by Emerging Technology from the arXiv2018.11.27
今年ノーベル物理学賞を受賞したドナ・ストリックランド准教授は、55年ぶりの女性ノーベル物理学賞受賞者だ。前回の女性受賞者は、原子核の殻模型の提唱が評価されて1963年に受賞したマリア・ゲッパート・マイヤーだった。その前となると、放射線の研究で1903年に受賞したマリー・キュリーである。
1901年から2018年の間にノーベル物理学賞は112回授与されているが、女性に授与されたのはたった3回で、この3人以外に女性の受賞者はいない。ノーベル化学賞、医学賞、経済学賞も同様の不均衡を示してる。科学部門のノーベル賞受賞者688人のうち、女性は21人だけだ。
もちろん、科学における男女格差は周知の事実だ。したがって、女性ノーベル賞受賞者の少なさは、単にその格差を反映しているだけであることは容易に想像がつく。だが、本当にそうなのか。女性のノーベル賞受賞を阻む傾向にある要因は、他にはないのだろうか。
このほど、コペンハーゲン大学のリースロッテ・ジョウフレッド助教授と数名の同僚の研究によって、その答えが明らかになった。ジョウフレッド助教授らはノーベル賞受賞者の男女比と、受賞者の研究分野における男女比を比較した結果、それらが一致しなかったという。実際、ノーベル賞受賞者のリストに占める女性の割合は、科学研究に占める女性研究者の割合より著しく少ない。
ノーベ …
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