スマート・コントラクトはどう規制されるべきか?CFTC委員長語る
政策立案者の暗号通貨に対する不安は、当局がスマート・コントラクトを手に入れるまでの問題なのかもしれない。米商品先物取引委員会(CFTC)のブライアン・クインテンツ委員長は10月16日、ドバイで開かれた情報通信技術の展示会「GITEX」での講演の中で、ブロックチェーンを基にして作られたコンピューター・プログラムに対する恐れを隠さなかった。
CFTCは、商品先物取引とスワップ取引を監督している。CFTCがビットコインを商品と認定した2015年以降、暗号通貨デリバティブの市場も委員会の管轄に入った。クインテンツ委員長は、CFTCの管轄に入ったスマート・コントラクトの例を挙げた。そのスマート・コントラクトとは、ユーザーが将来起きる出来事に対して、予測を立ててお金を賭けるという予測市場のことだ。クインテンツ委員長は、予測市場もバイナリー・オプションという一種のデリバティブ(金融派生商品)であると考えており、取引をCFTCに登録しなければならないという。これは明らかに、イーサリアムを基にした仮想通貨のプラットフォーム「オーガー(Augur)」のことを指している(「」を参照)。
従来CFTCは、市場仲介業者に独自の規制を設けることができ、登録を義務づけてきた。しかし、分散型のブロックチェーン・ネットワークの世界では、この規制はもう意味を持たないとクインテンツ委員長は述べた。「仲介業者を登録して監督するために作られた規制機構が、どうすれば仲介業者不在の市場を適切に監視し、基準を作れるのでしょうか」。
たとえば、未登録のバイナリー・オプションについては、誰が責任を取るのか。クインテンツ委員長は、スマート・コントラクトのプログラム開発者を告発することが適切なケースもあるかもしれないという。市場に出回ったプログラムを使って、ユーザーが何をするかのかについて、開発者はどうすることもできない。だから開発者は責任を問われないという主張を、クインテンツ委員長は否定した。この主張は、オーガーの開発者がプラットフォーム上での違法行為の可能性についての質問に対して出した返答だ。とはいえプログラム開発者を起訴してもプログラムはなくならず、ブロックチェーン・ネットワーク上で走り続ける。ならば、ユーザーが違法な取引を出品し続けたら、CFTCはどうすべきか。
クインテンツ委員長はスマート・コントラクトについての講演の締めくくりに、カール・セーガンの辛辣な一節を引用した。「われわれは科学と技術に依存した社会に生きているが、科学と技術について理解できている者はほとんどいない」。