KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
史上初の「商用DNAストレージ」、試作品がまもなく完成
Courtesy of CATALOG
ニュース Insider Online限定
The DNA data storage machine that’s the size of a school bus

史上初の「商用DNAストレージ」、試作品がまもなく完成

米国のスタートアップ企業がDNAにデータを保存する商用ストレージ・デバイスの開発を進めている。まもなく完成するプロトタイプでは1日あたり1テラビットのデータをDNAに書き込めるようになるという。 by Antonio Regalado2018.10.04

この世界はデータであふれている。だが、DNAを使えば、その膨大なデータを極めてコンパクトに保存できる。たとえば、地球上にあるすべてのiPhone、PCおよびサーバー・ラックの中に保存されたデータは、ジャグジー1杯分の遺伝文字(塩基)の中に収められる。さらに、DNAは耐久性にも非常に優れている。比較的涼しく乾燥した場所に保管すれば、何千年という期間にわたり保存することが可能だ。

この真新しい産業のスタートアップ企業の1つが、ストレージ・デバイスのプロトタイプの開発に向けた計画を明らかにした。そのデバイスはスクールバスの大きさを持つ巨大な機械だが、いつの日か映画やデータ書庫を、目に見えないほど小さいDNAペレットに変換できるかもしれない。カタログ・テクノロジーズ(Catalog Technologies)と英国企業のケンブリッジ・コンサルタンツ(Cambridge Consultants)は10月2日、このデバイスを共同開発していることを発表した。

すでに複数の研究チームが、GIF画像や書籍、ギフトカードおよびその他のデータをDNAに保存したり、DNAに保存したファイルを読み出したりすることが可能であることを明らかにしている。

問題なのは、データをA、G、C、Tの遺伝暗号に変換するのに時間がかかり、そのデータ情報を読み出すのが骨の折れる作業である点だ。カスタマイズしたDNAを製造する費用も高く、高解像度のDVD2枚分のデータを保存するのに100万ドル近くかかる。

カタログ・テクノロジーズは、同社のシステムの費用が従来よりも安いことを主張している。同社は、独自のDNA鎖を合成する代わりに、あらかじめ作られた安価な短いDNA鎖を組み合わせて、情報を保持する長いDNAに変えるプロセスを用いる。

カタログ・テクノロジーズの最高経営責任者(CEO)兼共同創業者であるヒュンジュン・パクは、上記のプロセスを、昔ながらの活版印刷機で金属製の活字を組み合わせて言葉に変えるプロセスに喩える。

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. The humans behind the robots 家事ロボット、実は8割は遠隔操作 あなたは受け入れられますか?
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  3. Can Afghanistan’s underground “sneakernet” survive the Taliban? タリバン政権下で生き残りをかける「コンテンツ密売人」たち
  4. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
  5. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る