HPが金属3Dプリンター市場に参入、VWら製造大手が続々採用
HPは9月10日、同社初となる金属3Dプリンターを発表した。その顧客にはそうそうたる企業が名を連ねている。
金属3Dプリンティングはずっと、ニッチな用途以外では伸び悩みが続いていた。 しかしここ数年で、金属3Dプリンティング技術はコストとスピードの課題を乗り越え始めた(それが「2018年版ブレークスルーテクノロジー10」に金属3Dプリンティングを選出する決め手になった)。
HPが今回発表した新型プリンター「HPメタル・ジェット」の販売予定価格は約40万ドル。1日に1300万個以上の金属部品を製造するGKNパウダー・メタラジー(GKN Powder Metallurgy)やフォルクスワーゲン、金属製造業のパーマテック(Parmatech)などの企業がすぐに使い始める予定だ。「世界は金属で動いています。毎年、何千億個もの金属部品が製造されているのです」。3Dプリンティング資材・先進応用部門のティム・ウェーバー部門長はそう語る。
HPメタル・ジェットは、バインダー・ジェット・プリンティングと呼ばれるプロセスを使用する。金属粉末と糊のような働きをする結合剤を層状に重ねることで部品を形成する仕組みだ。層状に形成された時点では部品はまだ脆い状態だが、熱を加えて焼結させることで完成品となる。
HPはデスクトップ・メタル( Desktop Metal)、GE、マークフォージド(Markforged)など、3Dプリンティングを手がける長年にわたるライバル各社と争うことになるだろう。HPの本質的な優位性は、自社のプラスチック用2Dおよび3Dプリンターで用いたのと同じ要素技術の多くを、金属用プリンターに使える点にある。
金属3Dプリンティングにより、製造業の自動化がさらに押し進められる可能性がある。3Dプリンターは他の多くの装置に比べて運用に人手がかからないため、多品目の部品を製造する小規模工場が、限られた品目の部品を大量生産する大規模工場に取って代わる可能性がある。人々の労働現場や働き方を変える可能性があるのだ。競争により金属3Dプリンターで製造する部品の価格が下がれば、さらなるイノベーションが促進されるはずだ。
訂正:9月13日06時59分公開時の「ヒューレット・パッカード(HP)」は、「HP」の誤りでした。訂正してお詫びいたします。(9月13日09時55分)